2015年8月19日水曜日

PEPSの命運を握る査読者(レフェリー)

PEPS宇宙惑星科学セクション編集委員の長妻 努です。

私はPEPSで初めて論文誌(ジャーナル)の編集に携わりました。PEPSが良いジャーナルとなるよう、微力ながら頑張っています。
これまで、各セクション編集長や外国の編集委員の方々の格調高いブログが続きましたので、ここらで少し「箸休め」ということで、新米の私に白羽の矢が立ちました(笑)。軽い気持ちでお読み頂けると幸いです。

新米編集委員の私が、この仕事で頭を悩ませているのは、投稿論文の査読者(レフェリー)の選定です。論文の内容に目を通し、誰にレフェリーをお願いするのが良いかを考えます。自分の専門分野ど真ん中であれば、「この論文はAさんとBさんにお願いしよう!」と比較的スムーズに判断ができるのですが、自分の専門から少し離れている場合は、投稿論文の分野の研究者をネットで検索・確認しなくてはなりません。Mysen先生も書いておられますが、2名アサインする場合に、それぞれがなるべく違う世代、バックグラウンドの方にお願いするように心がけることも大切です。
レフェリーを依頼する電子メールを送るときは、祈るような気持ちです。でも、すぐに決まらないことが良くあります。「忙しいので、無理です。」、「自分よりもCさん、Dさんが良いですよ。」と返事があれば、断られても次に進めます。時々、一切の返事を頂けない場合もあります。その時は、心が折れそうになります。一からやりなおしです。
また、稀ではありますが、レフェリーを引き受けた方から何の連絡も無いまま、締切りを過ぎても審査レポートを戻してもらえない場合もあります。現在忙しい中、頑張って査読してくれているのではないか?と思うと、締切りを過ぎたからと言ってすぐにお断りしてしまうのも良く無いのでは?と思う半面、ずっとレポートが来るのを待ち続けてしまうと、審査結果を心待ちにしている論文の著者に対して申し訳ないのでは?とも思って悩みます。

投稿論文の査読は、ジャーナルの品質・価値を大きく左右する要素の一つだと思います。査読を通じてその論文の価値を適切に判断し、著者に対して改訂の助言や、編集委員会に対して採択の可否について助言を与えて頂けると、ジャーナルの品質の維持に大きく貢献します。また、査読がスムーズに行われれば、原稿受理から出版までを作業を無駄なく進めることができ、一刻も早く自分の研究成果を世に示したい論文著者のニーズに応えることができます。
一方で、査読は研究者コミュニティの完全なボランティアです(編集委員も、ですが。)。PEPSでは、1編の投稿論文に対して、通常2名のレフェリーで審査するようにしています。PEPSは創刊1年の今年4月までに約100編の論文を受け付けましたから、既に200名を超える方にレフェリーをお願いしたことになります。この作業に協力して下さっている研究者の方々には、本当に頭が下がる思いです。

国際誌で長年にわたりエディターを務められた上出洋介JpGUフェローは、著書『国際誌エディターが教えるアクセプトされる論文の書きかた』の中で、論文の査読に関して「同時に五つくらいの論文のレフェリーまでは、引き受けていただけないものでしょうか?」ということを書いておられます。この文章を初めて読んだ時、同時に五つもの論文を査読するのは、他に何も仕事を抱えていなくても、大変な労力ではないかと思いましたが、編集委員の立場で考えてみると、これくらいの心構えで研究者がスムーズに査読を引き受けてくれると大変素晴らしいとも思いました。

というわけで、本ブログを読んでいる研究者の皆さん、PEPS編集部から査読の依頼がありましたら、依頼を断らずに喜んで引き受けてくださいね(笑)。どうぞよろしくお願い致します!


PEPS宇宙惑星科学セクション編集委員 / 情報通信研究機構 電磁波計測研究所 長妻 努

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